気候ポッド 第30回 ~ COP26を空っぽのコップで終わらせないために


10月31日から、英スコットランドのグラスゴーで開催されているCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)では、予想通り、Blah, blah, blahな対策がいろいろと決まって、これまた予想通り日本ではまるで意味があることのように報道されています。

COP26には、各国代表団など、2万人とも4万人ともいわれる参加者が集まっているらしいのですが、人権団体のGlobal Witnessによると、COP26開始時に国連が公開した参加者リストに掲載されている約4万人のうち、503人が化石燃料産業のロビイストなんだそうです。約8分の1が化石燃料関係者というわけです。

化石燃料産業にいつ引導を渡すか、いつ化石燃料産業への金の流れを止めるかを決める国際会議に化石燃料産業のロビイストがいたら、脱化石燃料の流れが加速するわけないやん。


さらに、COP26に参加している化石燃料産業の代表の人数の方が、過去20年間の気候変動による被害が最も甚大だった8カ国の代表団の合計よりも多く、参加している化石燃料企業は100社以上もいるそうです。こんなんで、気候変動対策が前進するわけないやん。

ちょっと待って。『「脱化石燃料」へ、世界が一歩前進した。』とか言ってる毎日新聞がいなかったっけ?

日本のメディアの認識ヤバい。化石燃料産業のロビイストの情報を発信したのはCOP26の議長国、イギリスのBBC。レベルが違うというかなんというか。日本のメディアにも化石賞をあげないと。

化石賞を甲子園の常連校並みに連続受賞している日本は、化石燃料産業への補助金に2020年だけで18兆円もぶっ込んでいるのに、このままだとGDPの3.72%が気候変動のせいでぶっ飛ぶことになるんだそうです。ちなみに、2020年の日本の化石燃料への補助金は、GDP比で3.3%。GDPの3.3%を使って気候変動を進行させ、GDPの3.72%の損害を出そうとしている国、ジャパン。正気を失っています。

気候変動と裏表の関係にある大気汚染に関する国立環境研究所の研究結果によると、G20諸国のうち、アメリカをはじめとする国際貿易が盛んな11カ国における物品の消費が、世界のPM2.5による早期死亡ケースの50%以上を引き起こしたそうです。どういうことかというと、商品を手にする最終消費地が、公害による早死にや健康被害を開発途上国に押しつけていることになります。利益のために、自国の消費者を加害者にして、開発途上国の人々を傷つけている企業の責任を問わなければいけません。

この構図は、大気汚染を二酸化炭素に置き換えることができます。先進国で消費される食べ物や商品の原材料生産から加工、流通で排出される二酸化炭素は、排出された国でカウントされます。ユニクロなどファストファッションの洋服や、携帯電話のような電子機器の排出量も、最終消費地ではなく、生産や製造、加工をした国でカウントされるということになります。

つまり、アメリカやEU諸国、日本のような国々は、製品の最終消費地で排出量を計上した場合、もっと排出量が増えるということです。そして、そうあるべきです。

そのためには、まず二酸化炭素排出によって気候変動を引き起こしている責任を国ではなく企業に負わせるシステムをつくらなければいけません。企業は利益を得ているのに、開発途上国への賠償に税金があてられるのはおかしいでしょ。詐欺とか泥棒のレベルです。

また、COP26の「世界リーダー会議」でスピーチを行なったブラジルアマゾンの先住民であるチャイ・スルイさんが、スピーチの際に「白人男性ばかりが目の前で聞いていた」と振り返っていましたが、COPは以前からずっと「おっさん多すぎ。女性少なすぎ」と批判されてきました

これもおかしいんです。気候変動の影響を偏って受けている女性に参加してもらわないと、偏った被害を効果的になくしていくための対策を決めることはできません。問題をつくってきた男性が、問題解決をリードするとか、まともな考え方ができる集団ならおかしいから変えようとなるはずなんですよね。でも、化石燃料産業のロビイストを500人以上受け入れるような組織だから、おかしなことが横行しています。

国際的な気候変動会議の女性参加者の割合がひどく低いという話に戻します。

2009年と2019年のUNFCCC(国連気候変動枠組み条約)各国代表を比較すると、2009年は女性の割合が32%で、2019年は39%と、この時代に10年たっても7%しか増えておらず、平等には程遠い状況です。代表団のトップの地位の女性の割合になるともっとひどくて、2009年の10%(193か国中19名)に対して、2019年は21%(196か国中41名)。2倍超増えても、まだ21%。決定権のあるポジションは男性が占めていることになります。こんな特権階級が高いポジションにはびこっている状態で、社会的弱者への不公正をなくすための政策が進むわけがありません。

COPだけに注目すると、日本の代表団における女性の割合は、2009年のCOP15が14%(世界平均は27%)、パリ協定が合意に至った2015年のCOP21では16%(平均は29%)、2019年のCOP25では25%(平均は37%)と、ただでも低い世界平均に輪をかけて女性を軽く扱うひどさでした。もうちょっと深く分析すると、COP以外の気候変動関連会議よりも、COPになると女性の割合が減るんですよね。下準備はより女性に、本番は男性がって感じでしょうか。気持ち悪いったら。

こんなおかしな状況を変えるには、女性を含めてこれまで気候変動対策を決める過程に参加させてもらえなかった、最も気候変動に対して脆弱(ぜいじゃく)な人たちが代表団や対策を決める過程に参加できるようにシステムをつくりかえるしかないと思います。

COPのような国際会議だけじゃなく、各国の国会や地方議会、関係省庁や自治体の関係部署にも同じことが言えます。先日選挙を終えた日本の衆議院は、当選した女性の割合が9.7%でした。10%にも満たないんです。女性への不公正をなくすための気候変動対策が進むような状態ではありません。ここから変えていかないと。

研究結果によると、ジェンダー平等が進んでいる国ほど気候変動対策も進んでいて、気候変動に強い社会基盤を持っているそうです。

予想よりも早く深刻化する気候変動を止めるには、社会も超速で変わっていく必要があります。そのためには、変化を求める人々も、変わっていくシステム側も、白人男性ばかりとか年配男性だけみたいな閉塞的で排外的な状況を脱して、弱者が参加するインクルーシブでインターセクショナルに変わっていく必要があります。

これ以上、空っぽのコップを並べさせてはいけません。



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