【COP26】2030~40年代の脱石炭火力を「前進」と呼んじゃダメ。COP26がすっかりカーボンウォッシュの場に

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10月31日から英スコットランドのグラスゴーで開催されているCOP26(第26回気候変動枠組み条約締約国会議)で、2030年から40年代にかけての石炭火力の廃止についての声明が発表されました。

30年代から40年代に石炭火力廃止へ
声明の主な内容は…

先進国は30年代、世界全体で40年代に二酸化炭素排出量削減のための措置がされていない石炭火力を廃止。
・ 同措置が施されていない石炭火力発電の新規建設の認可&建設&資金の支援をしない。

とまあ、こんな感じ。いろいろツッコミどころ満載なのだけど、まず報道のされ方をいくつか。

毎日新聞は『「脱化石燃料」へ、世界が一歩前進した。』と報じ、朝日新聞は『英国で開かれている国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)で、脱石炭を目指す動きが加速している。』と報じています。

開いた口が……。

また、報道や声明によると、アメリカ、中国、インド、ロシア、オーストラリア、日本などは賛同していません

さて、ここからいろいろツッコんでいきます。

報道されていないことあれこれ
1. 石炭の採掘や調査計画などには触れていない
これからも生産国は掘りまくりです。掘っている国がいる間は、燃やす国が出てきます。

2. 天然ガスと石油には一切触れていない=「脱化石燃料」の期限は決まっていない
もしも仮に30年代から40年代に脱石炭火力を果たせたとしても、その頃には天然ガスと石油の火力発電に置き換えられてしまうでしょう。つまり、この声明が現実になったとしても、脱石炭後の40年代から脱天然ガス&石油がはじまることになります。1.5度の努力目標を掲げながら、いったい何年まで化石燃料を使うつもりなのでしょうか。

3. 賛同していない主要国は、石炭火力発電量/生産国/石炭埋蔵量のいずれか or すべてが多い国
報道されているとおり、米中印露豪日はこの声明に賛同・署名をしていません。でも、なぜか脱化石燃料に向かって前進とか道筋ができそうなどとグリーンウォッシュ全開の報道やコメントが出ています。

まず、中米印露日は、世界で最も石炭火力発電量が多い国々です。
1位の中国は49.1%、2位はアメリカで12%、3位のインドは11.2%、ロシアと日本が2.3%で4位に並んでいます。5カ国で76.9%の石炭火力発電量になります。

次に、米中印露豪は、世界で最も石炭を生産している国々でもあります。これらの国が世界全体の生産量に占める割合は、1位の中国が47%、2位はインドで10%、3位のアメリカは8%、オーストラリアが5位で7%、6位のロシアは5.4%と、生産量は世界全体の77%にも及びます。

最後に、米ロ豪中印は、世界最大の石炭埋蔵量トップ5です。1位のアメリカが23%、2位のロシアが15%、3位のオーストラリアは14%、4位は中国で13%、5位のインドは約10%で、5カ国を合わせると世界の埋蔵量の75%になります。

まとめると、今回の声明には、発電量77%、生産量77%、埋蔵量75%を占める国々が賛同していないことになります。しかも、30年代から40年代にかけての石炭火力廃止に、です。


これはどういうことかというと、先述のとおり、40年代までは石炭火力を使って(しかも4分の3以上の発電・生産・埋蔵量を占める国は同意していない)、その後(たぶんそれまでに)は天然ガスに移行する可能性が高く(これらの石炭生産国は天然ガスの生産国でもあります)、そっちも期限を切らないと50年を大きく超えて火力発電が残ります。

そうなると、採掘によって自然は破壊され、生産国の弱者の健康が損なわれ、命が奪われ、人権が侵害され、世界中で大気汚染による数百万人の死者が出続けることになります

4. 無視されるグローバルサウス(開発途上国と化石燃料生産地の社会的弱者)
報道されていない&環境団体などからのコメントがないことの4つめとして、環境正義/気候正義の観点が抜け落ちています。IPCC報告書によると、30年代には1.5度を超えます。50年を待たずして2度も超えてしまうでしょう。

今回の声明は、気候変動に対してもっとも脆弱(ぜいじゃく)な開発途上国にとって「1.5度はあきらめろ」というメッセージであり、石炭や天然ガス、石油を採掘している地域やパイプライン、製油所、発電所の周辺に住む(住まされている)社会的弱者を長期にわたって見捨てるメッセージでもあります。

なのに「前進」と言い張るつもりですか?
いったい誰にとっての「前進」なんですか?
これを「前進」と呼ぶ意味がわかりません。
これを「前進」と呼んではいけません。

これは、グリーンウォッシュ/カーボンウォッシュです。



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