気候変動対策に必要な公平性とは?

ハフポストの経産省「公平性の観点から年齢だけに着目した選定はしない」 気候変動対策の議論に若者の参加を求める院内集会でという記事で、気候変動対策の公平性を保つために、当事者として若者の参加を求めているという内容に違和感を持ちまして。 日本の気候運動に「なんだかなー」と感じるのはこれが初めてじゃないというか、ずっと「なんだかなー」なんですよね。だって、環境正義/気候正義を掲げているのに、交差性・…

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グレタ・トゥーンベリさんがThe 1975とのコラボ 世界市民に気候危機解決への行動を呼びかけ

Credit: Anders Hellberg of Effekt magazine   15歳だった2018年の夏に、気候変動対策を求めてたったひとりでスウェーデンの国会前で抗議の座り込みを始め、その後国連や世界経済フォーラム、英国議会、欧州議会、フランス議会などで演説を行い、世界中で数百万人の若者たちが抗議デモを開催するきっかけになったグレタ・トゥーンベリさんが、人気バンド「The 197…

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温室効果ガスの71%を100社が排出していたという報告書  IPCC設立以降

  昨年9月に、1751年から2010年までの温室効果ガス排出量の63%を90社が占めているという研究結果が発表(『90社が温室効果ガスの約3分の2を排出しているという研究結果』を参照してください)され、国家単位で排出量を算出する従来の方法とはまた違う角度から気候変動の原因となる活動に対する責任の問い方の指針が示されました。   今回、機関投資家が連携して気候変動に対する戦略や温室効果ガスの排…

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気候変動の世代間における公正を求めた未成年者ら21人による訴訟の日程が決定  トランプ政権と対決へ

  2015年に当時のオバマ政権を相手に未成年者21人が気候変動の世代間における公正を求めて起こした訴訟は、2016年の連邦裁判所による予想を覆す判断で本格審査に進むことが決まりました。その後、トランプ政権に移行したために法廷闘争の相手もオバマ大統領からトランプ大統領に変わり、行方が注目されていましたが、オレゴン地方裁判所のトーマス・コフィン判事は、2018年2月5日よりオレゴン州ユージーンの米…

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米ワシントンD.C.でトランプ政権の気候変動対策に抗議する大規模なデモが開催 ~ それぞれの思いを抱いて歩く人々

  4月29日(土)に、米ワシントンD.C.をはじめとする370か所以上で、トランプ政権による気候変動対策の見直しを求める抗議デモ「ピープルズ・クライメート・マーチ(以下「気候マーチ」)」がトランプ大統領就任100日を狙って開催されました。主催者発表によると、ワシントンD.C.では20万人が行進し、ホワイトハウスを取り囲んで抗議の声をあげました。 Time-lapse, bird's-…

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先住民の若い世代には気候変動による環境の変化が普通になってきているという研究結果  米アラスカ州

  これまでに、気候変動による海氷の減少や永久凍土の浸食などによって米アラスカ州で先住民の町が移住の危機に瀕しているという記事をいくつか書いてきました。また、米本土のルイジアナ州では、連邦政府と州政府の援助を受け、先住民がコミュニティ丸ごと気候難民として移住することが決まっています。   本土と比較して約2倍の速さで気候変動が進むアラスカ州の先住民にとって、温暖化はいま目の前にある危機です…

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90社が温室効果ガスの約3分の2を排出しているという研究結果

   気候変動会議などで世界の温室効果ガス排出量について語られる際には、国別の排出量が対象となっています。たとえば、「2011年のアメリカの二酸化炭素排出量は世界全体の17%、中国は27%を占めた」といった表現をよく見聞きします。   したがって、気候変動会議で温暖化の歴史的な責任を問う場合には、先進国対開発途上国のような図式となり、国家間で話し合いが続けられます。   しかし、はたしてそれ…

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先住民の村が気候変動の脅威から逃れるために住民投票で移住を決定  米アラスカ州

            米アラスカ州シシュマレフ|Credit: Shishmaref- Erin (53) edit   気候変動による海面上昇が原因で、南太平洋やインド洋に位置する、海抜が低く水没の恐れがある島しょ国の人々が「気候難民」として将来的に移住を迫られているという話はこのブログで何度も触れてきました。   これまでにツバルやキリバスの国民が気候難民としてニュージーランドへの移住…

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【リオ五輪】 悲しい歓喜のダンス  海面上昇による祖国の危機を訴えるキリバスの重量挙げ選手

  ブラジルのリオデジャネイロで開催されているオリンピックの開会式で気候変動問題の映像が流され、地球規模の問題に世界がひとつになって取り組む必要性を訴えたことは記憶に新しいところです。   また、今回のオリンピックでは、気候変動の深刻な影響を受けているマーシャル諸島やアフガニスタン、南スーダンの代表選手たちが産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑えるために気候変動問題についてメッセージを発…

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貧困国ほど極端に暑い日が増加するという研究結果

  世界の累積二酸化炭素排出量が増加すると平均気温が上昇するという研究結果や、平均気温が上昇すると特定の地域で極端に暑い日が増えるという研究結果はこれまでにも発表されてきましたが、世界の累積二酸化炭素の上昇と特定地域における極端に暑い日の増加に直接的な関連性があるかどうかについての研究結果はありませんでした。   今回、英イースト・アングリア大学が率いる研究チームが、初めて累積二酸化炭素排出量…

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米ニュース専門局のCNNは、気候変動問題を扱う時間よりも石油産業のCMを流す時間の方が長いというレポート

  2年連続で世界平均気温が観測史上最高を更新し、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)では200ヶ国近くが「パリ協定」に合意するなど、気候変動関連の大きな出来事が続いたにもかかわらず、2015年の米主要メディアによる気候変動関連トピックの放送時間が2014年よりも減少したというレポートを以前に取り上げましたが、その報告をした米メディア報道監視団体「メディア・マターズ(Media…

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未成年者8人が気候変動対策をワシントン州に求めた訴訟に勝利  州は新たな温室効果ガス排出量削減策を年内に公布へ

  今月(2016年4月)の初旬に、気候変動によってもたらされる世代間の不公正をなくすための行動を連邦政府に求めたオレゴン州の未成年者による訴訟が予想に反して次のステップへと進み話題になりましたが、今回はその隣のワシントン州で、未成年者8人が州政府に対して気候変動対策を求めて起こしていた訴訟で、キング郡上級裁判所判事がワシントン州エコロジー局に対し、2016年末までに新たな温室効果ガス排出量…

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海面上昇と干ばつに見舞われる島しょ国に対する気候正義問題

               Credit: FreeImages.com/Sebastian Szlasa   以前に『島しょ国は海面上昇だけではなく水不足の被害も受けることになるという研究結果』という記事で、小さすぎて気候モデルのグリッドでは海と同じ扱いになっている島しょ国の70%以上、約1600万人が、2050年までに海面上昇だけではなく深刻な水不足の影響まで受けることになるという話をし…

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島しょ国は海面上昇だけではなく水不足の被害も受けることになるという研究結果

               Credit: FreeImages.com/Pere Rosales   インド洋のモルディブ、南太平洋のツバルやマーシャル諸島、フィジーなどの小さな島しょ国は、すでに気候変動による海面上昇の影響を受けており、その深刻さは今後悪化の一途を辿ると言われています。   しかし、気候変動による負の影響は海面上昇だけにとどまらず、今世紀半ばから今世紀末にかけて、島しょ…

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気候変動の影響の世代間における公正を求めた未成年者21人による米連邦政府に対する訴訟が次のステップへ

               Credit: Our Children's Trust   2015年に8歳から19歳までの未成年者が米連邦政府を相手取り、気候変動による影響の世代間の不公正をなくすための十分な措置をとらないのは違憲であるとした訴訟が予備審を通り、連邦下級裁判所での本格審査へと進みました。   この審査を巡っては、2016年3月に口頭弁論が行われ、米連邦政府に加えて化石燃料産…

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南太平洋の島しょ国ツバルの男性がニュージーランドで気候難民申請

                  Credit: UNHCR   ここ数年で「気候難民」という言葉を頻繁に耳にするようになってきました。2014年には、ツバルの家族が世界で初めて気候難民として認められ、話題になりました。アメリカでは、つい最近海面上昇によって侵食が進み、島に住み続けることが困難になったルイジアナ州の先住民コミュニティが、米本土初の気候難民として移住するための資金を連邦政府から…

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米本土で初の気候難民 ~ ルイジアナ州の小さな島に住む先住民が海面上昇によって移住を余儀なくされる

  米ルイジアナ州のメキシコ湾に浮かぶ小さな島の先住民が、海面上昇による浸食が原因で島に住み続けることが困難になり、内陸部に住民全員で移住することが決まりました。彼らは、米本土で初の「気候難民」になります。 Credit: Stacy Kranitz   ルイジアナ州のニューオーリンズから約130km離れたメキシコ湾の湿地帯にある「Isle de Jean Charles」と呼ばれる島で暮ら…

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女性が不公平に気候変動の深刻な影響を受けている~社会的構造が原因

                              Credit: waterdotorg   環境問題による悪影響は、すべての人に対して公平に降りかかることはありません。環境破壊が自然現象によって引き起こされたものでも、その最も深刻な影響を受けるのは社会的弱者であり、その弱者は所属する社会によって構造的に作り出された人たちです。また、人為的な環境破壊に至っては、政治的意思によって弱者…

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気候変動対策に反対する人たちが答えるべき倫理/公正に関する質問: 他国との兼ね合い編

  気候変動対策実施に反対する理由としてよく見聞きする「経済的損失」「科学的不確実性」そして「他国が同様の気候変動対策を講じない」について、倫理的/公正的観点から問いを投げかける記事を3回に分けて書いているのですが、今回はその3回目、「他国が同様の気候変動対策を講じない」ことを理由に気候変動対策に反対する人や団体が問われるべき倫理/公正に関する事項を挙げていきます。【これまでの記事】◆ 気候変動…

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気候変動対策に反対する人たちが答えるべき倫理/公正に関する質問: 科学的不確実性編

  経済的損失、科学的不確実性、そして他国が同様の気候変動対策を講じないことを理由に、温室効果ガス削減などの気候変動対策の実施に反対する人たちが答えるべき倫理的・公正的質問について、前回の記事では経済的損失や特定産業の損失、失業者の増加などの経済への影響を理由に、政府による気候変動対策に反対する人/団体が答えるべき倫理/公正に基づく問いを挙げました。  今回は、科学的不確実性を根拠に気候変動対策…

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